売り出し中の無人島が危険に晒される

沖縄県・尖閣諸島の国有化後、国内にある無人島の購入に関する問い合わせが不動産業者に殺到している。尖閣の売却益は19億円ともいわれるだけに、利ザヤを狙った資産家らの関心は高い。日本国民による純粋な売買ならさしたる問題はないが、中国など外資が触手を伸ばすと事態は急に深刻になる。軍事の専門家によれば、武器を運び込む拠点が築かれる危険もあるというのだ。

 

これまで見向きもされなかった無数の無人島が、尖閣の問題で"財産"として注目されるようになった。

無人島売買を紹介している不動産ポータルサイト運営の「ファーストロジック」(東京)によると、10月上旬の段階でインターネット上で売りに出されている国内の無人島は11カ所にのぼる。尖閣を国有化した9月11日の前から資産家を中心に関心が急上昇。9月のホームページのアクセス数は以前の10倍以上にはね上がり、これまでほとんどなかった問い合わせも相次いでいるという。

同社では「問い合わせは富裕層の方々から。例えばいい車に乗りたい、いい家を建てたいとの思いと同様、ステータスの1つとして無人島購入を検討されている」(マーケティング部)と説明する。

 

購入を考える狙いは、それだけではないようだ。不動産業界の関係者が語る。

「国有化前の尖閣所有者は、いまの価値でいうと1億5000万円前後で島を手に入れたとされる。日本政府の購入額は20億5000万円。売却益はざっと19億円あったとみられるだけに、投資の対象として一気に関心が高まった」

国土交通省によると、無人島は約6,400カ所確認されている。大半が国有地、あるいは権利関係が複雑であったりするため、売りに出されるケースはごくわずか。それだけに、国への売却を狙って人気が集中、「値がつり上がりそうな情勢」(先の関係者)という。

 

こうした日本人の富裕層が注目する分には大きな問題にはならない。しかし、尖閣を奪おうとする中国など外国人の影がみえると、ことは急に深刻さを増す。「尖閣諸島の報復のため日本の領土を買おう」と呼びかける中国のサイトもあるだけにかなり不気味だ。

『国防の常識』(角川学芸出版)などの著書がある元航空自衛隊員の軍事ジャーナリスト、鍛冶俊樹氏は「外資に買われると、武器を運び込む拠点が築かれる危険がある」と警告する。

「表向きはスキューバダイビング、ヨットなどマリンスポーツの基地としてリゾート開発が進んだとする。これは監視の目が届きにくい場所に、物を運び込む拠点ができたことを意味する。本州に近い無人島の場合、東京につながる密輸ルートができてしまう」

日本の四方を取り囲む海は、普段は天然の堀となって外敵の侵入を防ぐ。しかし、上陸の拠点を作られてしまうと一転、海は海外諸国と直結してモノをなだれ込ませるパイプと化す。

 

危険なのがライフル、機関銃、ロケットランチャーといった大型武器を搬入されること。変装した大量の工作員が成田空港から堂々と入国する裏で、これらの武器がそろえられていったら…。

「数千人がまとまって東京で武装蜂起したらどうなるか。首相官邸など国の中枢部があっさり陥落。気付いたら首相が人質になっていた、という事態は十分に起こり得る」(鍛冶氏)

 

外資の土地取得を規制する法律はある。1925年に制定された外国人土地法だが、外国人が土地を取得する際の制限基準や要件を定める政令がなく、これまで適用された例はない。そのため、国籍を問わず誰でも土地購入が可能という丸腰同然の状態だ。

前出の鍛冶氏は「防衛上に重大な問題があるのだから、政府は無人島の国有化を進めるべき。強制力を持った法整備も必要だ」と、政府の迅速な対応を促す。

日本列島の現状はまさにスキだらけ。防衛上の問題から国有化が必要な無人島は尖閣だけにとどまらないの