2012-03-01から1ヶ月間の記事一覧

円安株高活況は砂上の楼閣

3月19日、日経平均株価は終値が10,141円と東日本大震災後の高値をようやく更新した。しかしこの先もこの調子が続くとはとても考えにくい。日本にとって最悪のシナリオは、資源価格高騰による輸入インフレが賃金上昇を伴わない物価上昇、つまり悪性インフレに…

豪ドルの危うい日本人頼み

日本の個人投資家の間で人気の高い豪ドルの相場が先週、一時急落した。これまで豪ドル高を支えてきた日本の個人マネー。その流れに足元で変化の兆しがみられる。豪ドル相場は20日、豪英系の資源大手、BHPビリトンの幹部が最大の輸出先である中国の景気減速を…

日経平均と日経先物の関係

日経平均の配当落ちに関してよく受ける質問がある。それは「日経平均株価と日経平均先物の関係」だ。期末配当権利の3月をまたぐ6月限、中間配当権利の9月をまたぐ12月限について、日経先物が日経平均に比べて、一昨日までは配当分だけ安くなっているで、疑問…

外貨準備を日銀に売るという案

政府は保有外貨(外貨準備)を日銀に売却することで、100兆円の「日本再生基金」を設立したらどうか、と提案する人がいる。産経新聞特別記者・田村秀男氏だ。彼は、財務省や日銀の幹部数人にも会って、「どうか」と迫ったこともあるそうだが、不思議なのは彼ら…

白物家電に力を入れる家電各社

薄型テレビの販売激減にあえぐ家電メーカー各社が、冷蔵庫や洗濯機、エアコンなどの「白物家電」を重点強化している。国内では、「節電ニーズ」から省エネ機種が好調で、2月の出荷額が8カ月ぶりにプラスに転じた。海外でも新興国で購買力のある「中間層」が…

「継続企業の前提に関する注記」企業は67社

東証と大証(ジャスダックを含む)に上場する企業のうち、経営上重大なリスクを抱えているとして「継続企業の前提」に注記が付いた企業は、最新の集計で計67社にのぼることが分かった。業績改善で注記が外れる企業もある一方、一気に経営破綻に至る「本当に危…

一斉交代する家電3社の新社長は三者三様

パナソニック、ソニー、シャープの薄型テレビトップ3の社長が一斉に交代する。12年3月期の最終赤字はパナソニック7800億円、ソニー2200億円、シャープ2900億円と計1兆2900億円に上る見込みだ。業績の立て直しを託された3人のタイプはまったく異なり、その個…

それでも成長するジェネリック

12年のジェネリック医薬品(以下GE)促進策が3月5日の官報で発表された。2月10日に中医協で発表された促進策と同一であり、4月1日から適用される。今回のGE促進策は大きく4つにわかれる。 調剤薬局のGEインセンティブ(誘因)の一部引き上げ 医師に対する一般名…

個人投資家が株式投資を増やすために重視する条件

個人投資家が株式投資を増やすために重視する条件について、野村證券が調査した結果がある。その結果、「政治、政策への信頼性改善」を重視するとの回答が32.3%と最も多く、「株主還元(配当、自社株買い)の拡充」(20.4%)と「株式投資に対する税制上の…

開かれたFRBへ、あの手この手

米連邦準備制度理事会(FRB)が「開かれた中央銀行」を目指し、あの手この手で情報発信に努めている。記者会見に続き、なんとツイッターまで始め、20日にはワシントンの大学でバーナンキ議長が特別講義を開講。お堅いイメージの払拭に懸命だ。「景気回復の途上…

「失われた250年」をたどるポルトガル

ポルトガルは東日本大震災クラスの大地震に1755年に襲われている。リスボン市は壊滅。奇跡的に崩壊せず残った建築物が世界遺産ジェロニモ修道院というから、優れた耐震構造技術も存在したようだ。リスボン大地震前までは、大航海時代で世界の海を征した国。…

外貨投資が激減の個人投資家

なぜなのだろうか。ここにきて個人投資家が外貨資産に対する投資を縮小している。今年は先週末の16日時点で、外貨建て投資信託の売越額が1兆円を超え、外国為替証拠金取引(FX)での外貨買越残高も昨年末比5割以上減った。昨夏以降の「超円高」で損失を抱えた…

株式投資の基本は資産価値と成長性

3月も半ばとなり、就職を控えて新生活の準備に追われている人も多いだろう。新社会人の中には給料やボーナスの一部を将来に備えて株式で運用したいと考えている人もいそうだ。銘柄選びにはどんな「株価の物差し」が役立つか。代表的な投資指標の特徴や注意点…

ソニーはどうなる

ソニーの株価は、11年4-12月決算を発表した翌2月3日から5営業日連続の上昇となった。パナソニック株が同決算発表後に一進一退したのと比べると対照的だ。「『12年3月期でソニーの大赤字は底』と株式市場が見られるようになった。」楽天証券経済研究所のアナ…

QE3は実施すべきの声

米シカゴ連銀のエバンス総裁は景気の強さが増している兆候が引き続き見られるものの、金融当局は追加の緩和策を実施すべきだとの考えを明らかにした。同総裁は16日、フランクフルトで講演。講演原稿によると、「より力強い景気拡大を促進するため追加の金融…

ボルカー・ルールに世界中から批判の声

米国が新たな金融規制策として7月に導入する「ボルカー・ルール」に対する各国の批判が強まっている。銀行がリスクの高い取引を行い、結果的に経営が悪化して金融システム不安を招く事態を防ぐことが狙いだが、米国債以外の国債取引制限が各国の資金調達に悪…

このところの興味深い金価格の動き

ここ2日のNY金価格はFOMCの予想外の強気な景気見通し(上方修正)を受けて、続落しており、この日記を書いている時点では1トロイオンス1,640ドルを割り込むところまで続落している。昨年9月末までワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)日本代表を務めた豊島逸夫…

オーストラリアが景気減速気味

オーストラリアで経済の先行き不安がジワリ広がっている。景気減速を示唆する経済指標が相次いでいるためだ。市場では景気下支えのために、豪準備銀行(RBA)が4-6月期に追加利下げするとみる見方が多い。豪州の市場関係者は先週、2つの大きなニュースに揺れた…

日本国債暴落へのシナリオはありうるのか(後編)

(前編より続く) 震災が財政の弾力性をさらに縮めているとの見方もある。政府は復興予算として当初の5年間で19兆円を投入する予定だが、補正や本予算も含めて、将来の成長力には結びつかないようなバラマキも目立つ。エコポイントに名を変えた補助金行政の復…

日本国債暴落へのシナリオはありうるのか(前編)

東日本大震災から1年が経ち、内外の格付機関が相次いで日本国債を格下げしてきた。巨額な政府債務による財政の硬直性、ねじれ国会による政治の停滞に、震災による政治・経済面での環境変化が加わり、日本国債の信用力への評価がさらに厳しくなっているためだ…

CDSの支払いを前倒しに

国際スワップデリバティブ協会(ISDA)は、ギリシャ国債を保証する額面約30億ドルのクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)のクレジットイベント(信用事由)決済の支払い額を決定する入札を通常よりも早く実施する方針だ。ISDAは、ギリシャ政府による史上最大規…

ギリシャの計画的デフォルトを改めて整理

ギリシャ国債を1000億ユーロ以上保有する民間投資家が、ギリシャの巨大な債務再編に参加する意思を表明した。これで大きな関門を突破したことになり、史上最大のソブリン債務の計画的デフォルトが思惑通りに進む可能性が高まった。 追加支援の条件確保に自信…

米国の失業率低下は幻影の可能性

米失業率が冬場に急低下したことは、再選を目指すオバマ大統領を後押ししているようにみえる。しかし一部の民間エコノミストによると、雇用統計は季節要因を不正確に測定しているため、失業率の急低下は幻だった可能性がある。こうした分析が正しいなら、反…

ギリシャの債務交換提案に応じるのは4割

ギリシャの債務交換提案に対して、対象総額の39.3%相当の国債を保有する投資家が参加を表明した。国際金融協会(IIF)が7日、電子メールで発表した。IIFによると、交換に応じる30社が保有するギリシャ債は合計で810億ユーロ相当。交換提案はアテネ時間8日22時…

ギリシャ無秩序デフォルトなら、ユーロ圏の影響は1兆ユーロ

国際金融協会(IIF)は、ギリシャが無秩序なデフォルトに陥れば、ユーロ圏への影響が1兆ユーロを超えるとともに、危機の連鎖を食い止めるためスペインとイタリアも外部支援を余儀なくされる恐れがあると警告した。ロイターが市場関係者から入手した2月18日付の…

現役世代が学ぶべき段階世代の資産運用

少子高齢化。この言葉の響きはあまりうれしいものではないが、これが避けられないのなら、われわれ現役世代は今からでも手を打つしかない。特に退職後の人生が長くなればなるほど資金面で厳しくなりかねないことを認識した上で、今からどう対応すべきかを考…

静かな債券市場

日本でも市場環境は暖まってきた。円高修正と株高は3月期末にかけての朗報だが、次の関門は長期金利である。2011年9月中間決算に基づく評価損は大手行で3.5兆円、地域金融機関で2.8兆円――。金利が全期間で一律に1%上昇した際に、国債など債券を保有する…

迫る造船の「2014年問題」

かつて世界を席巻した日本の造船業界が、2年後に造る船がなくなる「2014年問題」の危機に直面している。韓国や中国のライバルの後塵を拝し受注が激減しているためだ。危機感を募らせたJFEホールディングスとIHIが今年10月に造船子会社の統合に踏み切るほか、…

命運を分けた判断とは

AIJ投資顧問に運用を委託していた厚生年金基金が存続の岐路に立たされている。この先運営に行き詰まっても、解散するには積立金を返還しなければならず、担当者は「解散もできない」と頭を抱える。一方で、AIJの運用実績を不審に思って解約、難を逃れた年金…

日本のFX投資家は株取引に鞍替え?

外国為替証拠金(FX)取引で、日本の個人投資家が高金利通貨に対して売り圧力を強めているようだ。年初から高金利通貨高・円安が進み高値警戒感が強まっているためで、利益確定の売りが相次いでいる。では、個人が高金利通貨の売却を通して手に入れた利益はど…