指を惜しんで掌を失う

言葉から想い浮かぶのは作業場で機械に指を巻き込まれた事故の光景だ。

ちょっと恐い表現だが、事故の実害を最小限に食い止めようと、指1本を犠牲に切断。
害が掌全体に及ぶのを避けるという悲壮な決断場面をにおわせる。

格言の趣旨は「小さな損をいつまでも悔やんで決断が遅れると結局は大きな損を招く」という戒めだ。
株の売買で思惑が外れて損」になった時迷わず的確な判断・決断をすることの大切さを説く。
よく知られる『しまったは仕舞え』や『損切りは素早く』の格言に通じる。世の中「小」にこだわって「大」が見えなくなる、ということはよくある。

その弊害が即「損」につながるのが相場の世界だからこそ同義の格言が数多く伝わる。
『小利大損』や『小利は失敗のもと』もそう。目先の「小さな利益」の追求にこだわるあまりに、肝心要の大局がみえず「大きな損」を招きかねないと。

「1円でも安く買い、1円でも高く売りたい」と願うのは人情。だが、それでは「大利」を得るチャンスを逸す。『一文惜しみは天底逃し』の格言もある。