「継続企業の前提に関する注記」企業は67社

東証と大証(ジャスダックを含む)に上場する企業のうち、経営上重大なリスクを抱えているとして「継続企業の前提」に注記が付いた企業は、最新の集計で計67社にのぼることが分かった。業績改善で注記が外れる企業もある一方、一気に経営破綻に至る「本当に危ない企業」が登場したこともあり、市場は固唾をのんで動向を見守っている。

継続企業の前提に注記が付くと、一般に「イエローカード企業」と呼ばれる。3月決算企業の第3四半期時点の集計や各社の開示資料をみてみると、イエローどころか「一発レッド」状態なのが、半導体大手のエルピーダメモリだ。正式に「注記」を記載したのが第3四半期決算発表後の2月14日だが、会社更生法の適用を申請したのはそれからわずか13日後の2月27日。注記の恐ろしさを知らしめた。
また、ジャスダック市場のカラカミ観光はMBO(経営陣による買収)で上場廃止となった。
福島第一原発事故以来、注記企業の仲間入りをしている東京電力は、第3四半期時点でも「中長期視点からの抜本的な改革に向けた見直し」が必要として、引き続き注記が付いた。

有名企業では、アンプなどで知られる老舗オーディオメーカーの山水電気が厳しい。業績不振を受けて香港企業の傘下に入ったが、その香港企業が事実上の倒産となり、監査法人が「意見不表明」の監査報告書を出したと3月1日に公表。東証も上場廃止の可能性がある監理銘柄(審査中)に指定した。
ラーメンチェーン「どさん子」で知られるホッコクは過去の決算で架空売り上げが計上されたとして決算訂正を迫られた。第3四半期報告書の提出は期限から大幅に遅れて3月14日となり、上場廃止をギリギリ免れたが、「営業損失を計上し、資金調達手段も限定された状態」として注記が続く。

新興不動産のアルデプロは私的整理の一種である「事業再生ADR」手続きを実施したことで10年9月に注記を解消していたが、今年3月16日、「13億円の債務超過の状態に陥った」などとして再び黄信号が点灯した。
金融サービスを手掛けるひまわりホールディングスは、傘下の証券会社が、東日本大震災発生直後の株価急落で多額の立替金が発生したことを理由にFX取引やCFD(差金決済)取引を除く証券事業から撤退、大幅な人員削減を実施した。

注記を外れる有名企業もある。「ペッパーランチ」を展開するペッパーフードサービスは今年2月、売上高の増大やコストの低減で黒字化を達成し、「金融機関及び取引先に対する借入金を確実に継続的に実行返済できる一定の資金水準にある」として注記の記載を解消した。
眼鏡チェーン大手のメガネスーパーも、投資会社のアドバンテッジパートナーズなどの出資を受けて「資本状況が大幅に改善された」として注記が外れた。
このところの株高や円安で主力の輸出関連企業には業績回復への期待が高まっている。勢いに乗ってイエローから脱却できるか、運命の分かれ道となりそうだ。