カード各社、通販サイト利用者獲得拡大にしのぎ

夏のボーナス・お中元商戦にあわせ、クレジットカード各社が会員向け通販ポータルサイトの利用拡大を図っている。各社はポータルサイト経由で提携先の百貨店や家電量販店などの通販サイトで買い物をすると、通常より多くのポイントがもらえるキャンペーンなどを実施。自社カードの使用を増やすとともに、顧客囲い込みも狙う。

カード会社が運営するポータルサイトを経由して会員が提携先の通販サイトで買い物をすれば、カード会社が発行する商品券などと交換できるポイントと、提携先のポイントの両方がもらえる仕組み。
ネット通販市場は毎年大幅な成長を続けており、2010年度の市場規模は7兆8000億円に達し、クレジットカードでの決済が半分程度を占める。
カード会社は自社カードの使用頻度が高まるうえ、提携先から売り上げなどに応じた手数料収入も得られ、収益拡大にもつながるだけに、ポータルサイトの利用者増に躍起だ。特に夏商戦は年末に次ぐ稼ぎ時となるため、集客力アップにしのぎを削っている。
三菱UFJニコスは7月末まで、自社が運営する通販ポータルサイト「POINT名人ドットコム」を通じ、ビックカメラなど提携先の通販サイトでパソコンや家電を買った場合、最大6倍のポイントがもらえるキャンペーンを実施している。通販ポータルサイト「永久不滅ポイント」を運営するクレディセゾンも7月末まで、高島屋や三越など百貨店の通販サイトでお中元を購入すると、最大15倍のポイントが得られるキャンペーンを行っているほか、他のカード会社もボーナスやお中元需要をにらんだポイントアップキャンペーンを展開中だ。

成人1人当たりのカードの平均保有枚数は3枚を超え、頭打ちの状況。節約志向が強まりから保有枚数を減らす傾向が強まる中、カード各社にとっては「発行枚数を増やすよりも利用頻度の高いメーンカードに選んでもらうことが最も重要な課題」(三菱UFJニコス)となっている。
そんな中、クレジットカードの使用率が高いネット通販は「顧客囲い込みの主戦場」(業界関係者)となりつつある。各社は他のカードとの差別化に向け、提携先拡大や割引クーポンの導入、ためたポイントで代金を支払えるようにするなど、ポータルサイトの充実に余念がなく、顧客争奪戦は激しさを増している。