夏枯れ後の秋相場は買えるのか

重要イベントが目白押しで波乱含みの9月相場。内需・ディフェンシブ銘柄などの物色が続いているが、まだこの先上値を追えるのか。それとも割安な景気敏感株を拾う「逆張り」が有効なのか。この局面で買える銘柄の条件やポイントなどを専門家は次のように考えている。

楽天証券経済研究所シニアマーケットアナリスト 土信田雅之氏
欧州債務問題など外部環境の不透明感が強いなかで、内需株が物色の中心となっており、この傾向はしばらく続くと見ている。業績の安定感から花王ユニ・チャームといった生活必需品を扱う銘柄への期待は強い。ピジョンが中国での売り上げを伸ばしているように、内需株でありながらも積極的な海外展開を進めていることも追い風になりそう。
海外にはない独自のビジネスモデルを持つコンビニも海外出店を増やしており、生活には欠かせない一種のインフラ関連業種となりつつある。買われ過ぎ感もある内需株だが、海外展開を進める企業は収益拡大シナリオが描きやすく、上値を追う展開になる可能性が高い。反対に、鉄道など国内が事業のメーンとなる企業は上値が限られるだろう。
外需株の中には好業績見通しながらも、売られ過ぎている銘柄も目立つ。自動車株などが代表例だが、下値では押し目を拾う動きや買い戻しの動きも出やすく底堅い展開になりそうだ。一方で、中国関連とされる企業の一部では楽観的な業績見通しを出す企業もある。ただ、中国景気減速は深刻で、下方修正リスクが拭えないため、多少業績が良くても株価は弱含みになる公算が大きい。

●インベストラスト代表取締役 福永博之氏
28日の株式市場では、カルビーやカカクコムなど内需株の高値更新が目立っている。海外のマクロ環境の不透明感から海外投資家の売買が比較的多い外需株には資金が集まりにくいため、国内の機関投資家も売買を手控えている。内需主導の株式相場の構図は今後も続く可能性が高いと見ている。
ただ、明治HD久光製薬など今期予想PER(株価収益率)が20倍を超える銘柄もあり、一部の銘柄には買われ過ぎ感が否めない。利益確定売りを警戒する局面を迎えており、今後は高値を更新している銘柄の中でも指標面で投資妙味がある銘柄を選好すべきだ。例えば、堅調な地合いが続く沢井製薬や味の素は、今期予想PERでみて10倍台にとどまっている。
一方で、外需株は当面、弱い地合いが続く公算が大きい。大きく下げた銘柄には短期的な反発を見込んだ買いを期待したいところだが、足元の株式市場の売買が低水準でそういったところにまで資金が回ってくる流れにはなりにくい。