「資源ブームは終わっていない」とRBA総裁

オーストラリア準備銀行(RBA)のスティーブンス総裁は24日、半期に一度の議会証言で、資源ブームが終わった兆候は認識していないと語った。また、経済見通しに劇的な変化がない限り、金利は据え置かれる可能性が高いことを示唆した。

総裁は、世界の経済環境が依然として低迷していると認めつつ、自国の経済成長はトレンドに近い水準にあると指摘し、インフレ率も2─3%の目標と一致している、と述べた。

 

総裁は「世界的に不透明感が高まり、豪経済に重要な構造変化が起きる中、特定の先行き見通しに抱くことができる信頼の度合いが低下することは避けられない」と指摘。「持続的な成長とインフレ率2─3%を目指す枠組みの中で、良識的であり、かつそうすることが可能である限り、われわれは自らの見通しから大きく逸脱する事象にも対応する準備ができている」と述べた。

総裁はこれまでに行った利下げの効果を述べるのは時期尚早だと強調した。

豪中銀は昨年11月以降、オフィシャルキャッシュレートを125ベーシスポイント(bp)引き下げ、3.5%としている。

 

スティーブンス総裁は、鉱業分野に対する投資が引き続き力強く推移し、2013/14年のどこかでピークを迎えるとする中銀の見通しを繰り返した。

総裁は「私自身の見方は慎重ながらも楽観的と言えるだろう。実際にあるべき姿より悲観的になるリスクをわれわれは冒していると考えているため、人々が悲観的にならず楽観的になるよう心掛けている」と述べた。

 

英豪系資源大手BHPビリトンは22日、豪国内における主要プロジェクトの拡張計画を棚上げにすると発表。これを関連してファーガソン豪資源・エネルギー相は23日、世界的金融危機の影響からオーストラリア経済を守る緩衝材となってきた資源ブームは「終わった」との見解を示した。同相は豪ラジオ局に対し、「われわれはよくやった。投資額は2700億豪ドル(2820億米ドル)に上り、世界の羨望を集めたが、過去6-12カ月間に状況が厳しくなった」と述べた。

同相の発言を受けて資源ブーム終焉への懸念が急速に高まったが、豪政府はこうした懸念の火消しに素早く動いている。ウォン財政・規制緩和相は23日、依然として5000億ドルを超える規模の鉱山関連投資が計画されており、うち半分は進んだ段階にあると強調した。

 

スティーブンス総裁も、少なくとも現時点では見通しを大きく引き下げる要因はないと指摘した。

BHPビリトンは豪ドル高とコモディティー(商品)価格の下落、開発コストの急騰をプロジェクト延期の理由に挙げた。

スティーブンス総裁は議会証言で、豪ドル高を是正するための為替介入はこれまでに実施していないことも明らかにした。総裁は「われわれは豪ドル水準に影響を与えることを意図した、いかなる介入も行っていない」と述べた。