日銀が2.4兆円を市場投入

日銀は31日、国債や社債を買い取る基金を使って金融市場に2.4兆円を供給すると発表した。基金による1日の供給額としては10年10月の導入以降で最大。政府の予算執行抑制に伴う市場の混乱を未然に防ぐ狙いとみられる。
日銀が通告したのは、9月4日から10月15日のおよそ1カ月間に8000億円を貸し出すものと、同じ9月4日から翌年1月15日の4カ月間で1兆6000億円を供給する市場操作。
通常、1日当たりでは8000億円程度の供給にとどめているが、その本数を2本に増やし、合計で2兆円を超えたのは今回が初めて。巨額の資金供給により歳出抑制の影響を最小限に食い止めたい考えだ。

初の歳出抑制で対象になった地方交付税交付金は、総額16.4兆円が4月と6月、9月、11月に分割して支払われることが法で定められている。一方、具体的な日程については決められていないが、消費税や法人税などの国庫納付が重なる第2営業日に支払われることが慣例になっており、今回も4.1兆円が9月4日に支払われることが想定されていた。
東京短資などの資金仲介業者による推計では、4日は税金の国庫納付や社会保険料の支払いでおよそ5兆円が吸い上げられる。ただ、4兆円余りの地方交付税交付金などがそれらを相殺するため、資金需給の一翼を担う財政等要因は平準化され、需給面では中立の展開になるとの読みが多い。

しかし、その地方交付税交付金の支払いが先送りされれば、税の国庫納付に伴う資金ひっ迫要因を相殺する構図が崩れる。交付金の多い自治体に属する地方銀行によっては「数百億円単位で資金計画に狂いが生じかねない」(邦銀)との懸念もある。