スイス中銀、為替介入でユーロの持ち腐れ

スイス国立銀行(SNB、中央銀行)のヨルダン総裁は、外貨準備として同行に記録的なペースで積み上がるユーロの投資先を思案している。
サラシン銀行のエコノミスト、ウルシナ・クブリ氏は「多くの資産運用マネジャーと同じ問題をスイス中銀は抱えている。安全な資産は非常に割高になった。つまり、しばらくは投資より現金が選好されるということだ」と述べた。

スイス中銀はスイス・フラン高に歯止めをかけるため、対ユーロ相場の上限を2011年9月に設定。1ユーロ=1.20フランの上限を守るためのユーロ購入に伴い、外貨準備高は今年6月末までの4カ月間に50%増え過去最高の3650億フラン相当となったが、同中銀はそうした外貨を現金で持ち続けている。以前は保有する外貨を主に「トリプルA」格付けの国債に投資していたが、現金保有の急増は政策当局も正しい運用先を見つけるのが難しいことを示唆している。

クレディ・スイス・グループのストラテジスト、カーステン・リノウスキー氏は「スイス中銀はまだ、一部の債券に投資することができるかもしれない。だが、利回り低下で投資対象の選択肢はここ数カ月で大きく狭まった。スイス中銀からしてみれば、こうしたリスクの高い時期に現金を大量に持っておくことは妥当だ」と語った。
ドイツ10年国債の利回りは6月1日に過去最低の1.13%を記録。2年国債のリターン(投資収益率)は今月28日時点でマイナス0.007%となっている。