3メガバンクが間隙を縫って海外融資で攻勢

3メガバンクが海外向け融資に積極的に取り組んでいる。三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)、みずほFG、三井住友FGの今年6月末の海外貸出金残高は、いずれも増加傾向が顕著だ。欧州の銀行が債務危機の影響で海外での貸し出しに慎重になるなか、邦銀がそのすき間を縫って攻めに出ている。

6月末の海外貸出金残高は、三井住友FG傘下の三井住友銀行が1360億ドルと10年3月末に比べ約5割増となったほか、みずほFGも1265億ドルと6割強の増加。円ベースで開示している三菱UFJFGは19.9兆円だが、為替の影響を除くと12年3月末に比べ0.5兆円増えた。
邦銀の融資が増えている背景には欧州の債務危機がある。財務内容が傷んだ欧州の銀行は、財務の健全性を示す自己資本比率を維持するため、軒並み貸出金の圧縮を迫られている。あるメガバンク首脳は「余力の乏しい欧州勢が新たな貸し出しニーズに応えられなければ、邦銀が貸し出しシェアを高める局面が増える」と、期待する。

また、日本企業がアジアなどの新興国を中心に海外進出を加速していることも、邦銀の融資を後押しする。みずほFGの6月末の海外貸出金残高のうち、アジアは614億ドルと3月末より7.3%増えた。邦銀は日系だけでなく現地企業との取引も強化しており、「新興国向けの融資が拡大している」(みずほFG)という。
ただ、新興国の場合は国内に比べ、貸し倒れなどのリスクが大きいとされる。このため、「欧州危機が新興国に波及し実体経済が悪化したとき、貸し出し債権の質が低下しないかを注視している」(メガバンク幹部)状況だ。