FX再編の嵐再び(後編)

(前編より続く)

 

FX業者の収益確保の戦略としては、システムにかかる費用をどこまで抑えられるかも重要なポイントになる。この点を重視し、新しいFXサービスを打ち出したのが、楽天証券だ。

他社のシステムを間借りしていた楽天証券は今月7日、来年1月に新サービス「楽天FX」を始めると発表。これまではコスト抑制や柔軟なスプレッド縮小に難があったが、自前のシステムに移行することで、「スプレッドを含め、他の大手に負けない競争力を備えられる」(関係者)としている。

親会社が運営するインターネット商店街「楽天市場」が抱える数千万人の利用者への浸透によっては、勢力図を塗り替える可能性もあり、業界では警戒感が強まっている。

金融庁の新規制、大手間の手数料引き下げ競争の激化、システム費用の負担に加え、ここ数カ月間、為替相場の変動幅が縮小傾向にあることなど、FX業界を取り巻く経営環境は厳しさを増す。

 

さらに、大手が本格的に海外進出に乗り出すなど競争がグローバル化すれば、体力差が物を言う状況は強まる一方で、中小が存在感を示せる場所は少なくなるとの見方も強い。GMOは先月、国内大手で初めて、香港でのサービスの提供を開始し、「現在は規制で参入できない中国本土でも将来、サービスを提供したい」(高島社長)など、早くも競争の場を新興国市場に拡大している。

こうした環境の厳しさを反映するように、ある大手業者には「FX業者を買わないか、という話が複数、持ち込まれている」(関係者)。SBIFXトレードの藤田取締役は「今後、本格的な淘汰の波が来る」と予言する。