消費税増税が再延期された場合のシナリオ

安倍晋三首相の側近である萩生田光一自民党幹事長代行が4月18日、増税延期の可能性に言及したことを受け、市場では消費増税の延期観測が浮上してきた。
過去2度の延期が、いずれも期日まで10カ月程度の余裕をもって、当初予算案の閣議決定や成立前に表明されたことを考えれば、仮にこのタイミングで延期が決まれば、軽減税率への対応を進めている経済界からの反発も見込まれる。
しかし、安倍首相は16年6月、「世界経済が大きなリスクに直面している」と訴えて2度目の延期に踏み切った際、「リーマンショック級や大震災級の事態が起きない限り(消費税率を)引き上げる」としていたそれまでの公約を翻した前例がある。最後は政治判断に委ねられる問題だけに、予断を許さない状況になってきたとみるべきだろう。そこで増税が延期となった場合の円相場への影響を考察してみたい。

世界に例をみないほど高い公的債務残高を抱える日本が増税延期を決めれば、日本国債の格付けが引き下げられる可能性がある。
実際、14年11月に最初の増税延期が決まった際、同年12月の米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスを皮切りに、翌年4月にはフィッチ・レーティングス、9月にはS&Pグローバル・レーティングがいずれも1段階日本国債を格下げした。現在の日本国債の格付けは、最上位から4─5段階低いシングルAプラスからシングルAに位置している。さらなる格下げとなれば、トリプルBすらも視界に入る。
一方、16年6月に2度目の延期を表明した際は、格下げの動きはなかった。当時の世界的な景況感の悪化を踏まえ、増税延期が一定の理解を得たためとみられる。例えば、日本に対して財政健全化を提言し続けている国際通貨基金(IMF)でさえ、「景気が一段と悪化するリスクの低下につながる」と延期を容認したほどだ。
足元でもグローバルな景気減速が警戒されており、IMFも世界経済見通しの下方修正を発表したばかりだ。増税延期が必ずしも格下げにつながるわけではない。もっとも、国債の国内消化を可能にしている日本の経常黒字は、長期的にみれば高齢化の進展に伴う貯蓄の取り崩しによって縮小すると見込まれる。財政健全化への期待をつなぎ止めているのは日本の低い国民負担率(所得に対する租税と社会保障の負担率)だが、財政健全化に向けた政府の意志に疑念が生じれば、その期待も消失しかねない。3度目の増税延期は、やはり格下げのリスクを伴うだろう。

仮に日本国債が格下げされると、円相場にはいくらか下落圧力が加わる恐れがあり、要注意だ。これは、本邦勢がドル資金を調達する際のプレミアムが上昇すると考えられるためだ。
現在、多くの投資家が円を担保に為替スワップでドルを調達し、ドル建てを中心とする外国債券に投資している。その調達コストは、3カ月物の場合、日米金利差とプレミアム(ドル調達上乗せ金利)を合わせて年率約290ベーシスポイント(bp)に達しており、19日時点で米長期金利を上回っている。
このプレミアムは、ドル資金の需給とその出し手(海外投資家など)が要求するリスクプレミアムに影響を受ける。このため、格下げはプレミアムを押し上げ、ドル資金の調達コスト上昇を招く恐れがある。その際、為替リスクを嫌う投資家は、上昇した調達コストの補填(ほてん)を狙い、より高い利回りを求めて一段とクレジット(信用)リスクやデュレーション(期間)リスクを取ることを迫られる。だが、円相場への直接的な影響はない。

一方、為替リスクの許容度が高い投資家は、調達コストが上昇するほど為替のヘッジ比率を引き下げるだろう。具体的には、新規の外債投資において円の売り切り(ドルの買い切り)といったオープン外債を積み増すほか、既存の為替ヘッジを外すとみられる。これらは、いずれも円売りを招く。
現在、日本の主要外債投資家である生命保険会社の一般勘定と公的年金を合わせた外債保有高は、100兆円を上回る。これにほかの投資主体が加われば、さらに残高は膨れ上がる。むろん、これらの全てがドル建ての為替ヘッジ付き外債ではないが、1%のヘッジ比率の引き下げであっても、円相場には相応の影響を及ぼす規模と言える。

もっとも、14年から15年にかけて相次いだ格下げの場面でも、14年10月に実施された日本銀行によるサプライズ緩和の直後を除き、目立った円安は観察されていない。プレミアムの上昇はむしろ、米国を中心とするレバレッジ比率規制や、銀行に自己勘定の投機的取引などを禁じた「ボルカールール」の完全適用といった、金融規制改革を受けた大手金融機関のドル資金供給の抑制と、MMF(マネー・マーケット・ファンド)に対する2016年の規制強化を受けたドルの供給減を受けて起きたイメージだ。
ただし、ドル供給側の状況は、改善に向かいそうだ。例えば、米大手金融機関も金融規制改革への対応を一巡しており、ドル供給を抑制するインセンティブは高まりにくい。米国のMMF残高も増加傾向にあり、徐々にドル供給力を高めつつある。また、米連邦準備理事会(FRB)のハト派姿勢を受けたドル高の一服を受け、新興国通貨安も和らいできた。

新興国は外貨準備を温存できるため、その運用需要、即ちドル資金の供給力は高まるとみられる。さらに、FRBは3月の連邦公開市場委員会(FOMC)において、保有資産の縮小(マネタリーベースの吸収)も9月末に停止すると決定しており、ここ数年みられた年末特有のドル資金不足やプレミアムの拡大も和らごう。
これらの事情を踏まえれば、仮に格下げがあったとしても、1段階であればシングルAにとどまることもあり、円安はあっても限定的なものにとどまるのではないか。
なお、増税延期が株高を通じて円安を演出するとは考えにくい。いずれ増税が必要なことは、誰の目にも明らかであり、単なる問題の先送りには相場の反応も鈍いとみられるからだ。

一方、格下げから円高に通じる経路として、日銀の金融緩和姿勢の転換が挙げられる。
もともと2013年1月22日の「政府・日銀の共同声明」において、日銀は従来からの方針を大幅に変更し、物価安定の目標として2%を設定。その目標の下で、「金融緩和を推進し、できるだけ早期に実現することを目指す」ことを宣言した。
同時に政府は、「日本銀行との連携強化にあたり、財政運営に対する信認を確保する観点から、持続可能な財政構造を確立するための取組を着実に推進する」と、財政健全化に取り組む姿勢を示している。
つまり、日銀の大規模な国債買い入れの前提は、政府の財政健全化への取り組みだ。3回もはしごを外された日銀が、国債買い入れに消極的になる可能性はゼロではない。この場合、円債利回りがいくらか上昇するとみられる。そうなれば、本邦勢の円債回帰を促し、結果として円安圧力を弱めたり、円高圧力を生じると考えられる。可能性は低いが、こうした視点も併せ持っておく方がいいだろう。

指を惜しんで掌を失う

言葉から想い浮かぶのは作業場で機械に指を巻き込まれた事故の光景だ。

ちょっと恐い表現だが、事故の実害を最小限に食い止めようと、指1本を犠牲に切断。
害が掌全体に及ぶのを避けるという悲壮な決断場面をにおわせる。

格言の趣旨は「小さな損をいつまでも悔やんで決断が遅れると結局は大きな損を招く」という戒めだ。
株の売買で思惑が外れて損」になった時迷わず的確な判断・決断をすることの大切さを説く。
よく知られる『しまったは仕舞え』や『損切りは素早く』の格言に通じる。世の中「小」にこだわって「大」が見えなくなる、ということはよくある。

その弊害が即「損」につながるのが相場の世界だからこそ同義の格言が数多く伝わる。
『小利大損』や『小利は失敗のもと』もそう。目先の「小さな利益」の追求にこだわるあまりに、肝心要の大局がみえず「大きな損」を招きかねないと。

「1円でも安く買い、1円でも高く売りたい」と願うのは人情。だが、それでは「大利」を得るチャンスを逸す。『一文惜しみは天底逃し』の格言もある。

雇用統計大幅改善も米国株は大幅安

2日の米株式相場は大幅反落した。ダウ工業株30種平均は前日比139ドル46セント(1.1%)安の1万3093ドル16セントで終えた。6日投票の大統領選挙の結果を見極めたいとの雰囲気が強まった。前日に大きく上げた反動もあり、目先の利益をひとまず確定する目的の売りが優勢になった。原油や金など商品相場の下げも手伝い、エネルギー株や素材株に値下がりが目立った。

 

朝方発表の10月の米雇用統計は、非農業部門の雇用者数の伸びが市場予想を大幅に上回った。雇用改善を手掛かりとした買いが先行したが、取引が一巡すると勢いを失った。次の焦点として大統領選が浮上し、模様眺めムードが強まる中で利益確定売りに押される展開になった。

ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は前日比37.93ポイント(1.3%)安の2,982.13で終えた。

 

業種別S&P500種株価指数は全10業種が下落した。「素材」や「エネルギー」、「IT(情報技術)」の下げが目立った。ニューヨーク証券取引所(NYSE)の売買高は約7億9000万株(速報値)、ナスダック市場は約17億8000万株(同)だった。

減収減益決算を発表した石油のシェブロンが大幅下落。通信のベライゾン・コミュニケーションズも下げた。ハリケーン「サンディ」により生じた通信障害が10~12月期の業績に大きな影響を与えると発表し、収益の先行きを警戒する売りがじわりと広がった。

 

一方、増収増益決算を発表したインターネット旅行会社プライスライン・ドット・コムが急上昇。市場予想を上回る四半期決算を発表したコーヒーチェーンのスターバックスも上げた。ファッションのラルフローレンも上昇した。市場予想比で健闘した決算を手掛かりにした買いが入った。

 

てっきり、雇用統計改善により、米国株は大幅高になるものかと思っていたが、株とは難しいものである。

売り出し中の無人島が危険に晒される

沖縄県・尖閣諸島の国有化後、国内にある無人島の購入に関する問い合わせが不動産業者に殺到している。尖閣の売却益は19億円ともいわれるだけに、利ザヤを狙った資産家らの関心は高い。日本国民による純粋な売買ならさしたる問題はないが、中国など外資が触手を伸ばすと事態は急に深刻になる。軍事の専門家によれば、武器を運び込む拠点が築かれる危険もあるというのだ。

 

これまで見向きもされなかった無数の無人島が、尖閣の問題で"財産"として注目されるようになった。

無人島売買を紹介している不動産ポータルサイト運営の「ファーストロジック」(東京)によると、10月上旬の段階でインターネット上で売りに出されている国内の無人島は11カ所にのぼる。尖閣を国有化した9月11日の前から資産家を中心に関心が急上昇。9月のホームページのアクセス数は以前の10倍以上にはね上がり、これまでほとんどなかった問い合わせも相次いでいるという。

同社では「問い合わせは富裕層の方々から。例えばいい車に乗りたい、いい家を建てたいとの思いと同様、ステータスの1つとして無人島購入を検討されている」(マーケティング部)と説明する。

 

購入を考える狙いは、それだけではないようだ。不動産業界の関係者が語る。

「国有化前の尖閣所有者は、いまの価値でいうと1億5000万円前後で島を手に入れたとされる。日本政府の購入額は20億5000万円。売却益はざっと19億円あったとみられるだけに、投資の対象として一気に関心が高まった」

国土交通省によると、無人島は約6,400カ所確認されている。大半が国有地、あるいは権利関係が複雑であったりするため、売りに出されるケースはごくわずか。それだけに、国への売却を狙って人気が集中、「値がつり上がりそうな情勢」(先の関係者)という。

 

こうした日本人の富裕層が注目する分には大きな問題にはならない。しかし、尖閣を奪おうとする中国など外国人の影がみえると、ことは急に深刻さを増す。「尖閣諸島の報復のため日本の領土を買おう」と呼びかける中国のサイトもあるだけにかなり不気味だ。

『国防の常識』(角川学芸出版)などの著書がある元航空自衛隊員の軍事ジャーナリスト、鍛冶俊樹氏は「外資に買われると、武器を運び込む拠点が築かれる危険がある」と警告する。

「表向きはスキューバダイビング、ヨットなどマリンスポーツの基地としてリゾート開発が進んだとする。これは監視の目が届きにくい場所に、物を運び込む拠点ができたことを意味する。本州に近い無人島の場合、東京につながる密輸ルートができてしまう」

日本の四方を取り囲む海は、普段は天然の堀となって外敵の侵入を防ぐ。しかし、上陸の拠点を作られてしまうと一転、海は海外諸国と直結してモノをなだれ込ませるパイプと化す。

 

危険なのがライフル、機関銃、ロケットランチャーといった大型武器を搬入されること。変装した大量の工作員が成田空港から堂々と入国する裏で、これらの武器がそろえられていったら…。

「数千人がまとまって東京で武装蜂起したらどうなるか。首相官邸など国の中枢部があっさり陥落。気付いたら首相が人質になっていた、という事態は十分に起こり得る」(鍛冶氏)

 

外資の土地取得を規制する法律はある。1925年に制定された外国人土地法だが、外国人が土地を取得する際の制限基準や要件を定める政令がなく、これまで適用された例はない。そのため、国籍を問わず誰でも土地購入が可能という丸腰同然の状態だ。

前出の鍛冶氏は「防衛上に重大な問題があるのだから、政府は無人島の国有化を進めるべき。強制力を持った法整備も必要だ」と、政府の迅速な対応を促す。

日本列島の現状はまさにスキだらけ。防衛上の問題から国有化が必要な無人島は尖閣だけにとどまらないの

「財政の崖」放置なら米経済リセッションも

米債券運用会社パシフィック・インベストメント・マネジメント・カンパニー(PIMCO)のエラリアン共同最高投資責任者(Co-CIO)は3日、減税失効と歳出の自動削減開始が重なる「財政の崖」の問題を米議会が解決できなければ、米経済はリセッション(景気後退)に陥る公算が大きいとの見方を、米経済誌フォーチュン主催の会議で示した。

エラリアン氏は、議会が年末の期限前に対処する確率を60%と予想。一方で、問題を放置した場合にはリセッション入りするとの見方を示した。
また議会が財政の崖問題を克服するとともに、雇用、住宅、クレジット市場の「実行可能な」改革に努めれば、3%の成長率達成が可能とロイターに語った。

エラリアン氏は、リスクの高い国としてギリシャ、スペイン、中国に言及。スペインについては「早急な支援要請が必要」と認めるべきとの考えを示した。
ユーロ圏諸国については、債務危機を乗り切るとの見方をあらためて示したが、規模はおよそ14―16カ国に減り、政治的な統合が進むとした。
またPIMCOが注視している5大リスクの1つにイランを挙げ、同国経済が崩壊すればシリアやレバノンにも影響が及ぶ恐れがあると指摘した。

 

「最後の1分1秒まで徹底的にやる」と安住財務相

安住淳財務相は25日、閣議後の会見で、円高傾向にある為替動向に関連し、財務相の引き継ぎ期間に空白が生じるという投機筋の見方は大いなる誤解だと述べ、「最後の1分1秒までやるときは徹底的にやる」と市場をけん制した。さらに、「この1週間も今までと変わらず断固たる措置を含めやる。隙があると思わないほうがいい」と語った。
24日内定した民主党役員人事で、安住財務相は幹事長代行に内定した。内閣改造は野田佳彦首相が国連総会から帰国後の10月1日以降と見込まれており、安住財務相は投機的な動きに対して「(事務)引き継ぎの期間は空白が生じるという見方は大いなる誤解だ」と牽制した。

日銀の金融緩和強化にもかかわらず、円が再び77円台後半まで円高方向に戻している状況に関しても「短期的変動はあるが、中長期的に見たときに、日銀の対応はしっかり効いてくる。時宜をえた対応だった。ただ、短期的には投機的な面が出てくる可能性がある」と警戒し、「最後の1分1秒までやるときは徹底的にやる」と市場をけん制した。
48年ぶりに東京で開催されるIMF・世銀総会を間近に控えた財務相の交代は驚きをもってみられている。人事については安住財務相は「総理の判断で、政府・与党の全体のバランスのなかで人事はやるものだと思っている」と受け止め、事務引き継ぎに関しては「G7開催とかいろいろな噂が出ているが、最終的な日程が確定しているわけではない。10月1日までの間に、日程的なものはきちんと詰め、内容も誰が後任できても、ホスト国としての役割を十分果たせる万全の準備をして引き継ぎたい」と述べ、「懸念は当たらない」と繰り返した。

一方で、今後、与野党の調整にあたることになる特例公債法の扱いではあらためて「特例公債法はいかなる政権でも、通さなければ、日本の政府の存続にかかわる問題だ。与野党ともにその認識あると思うので、しっかりお願いして、国会で成立を図りたい」と決意を語った。

サークルKサンクスが業態変更に力

サークルKサンクスは30日、都内で開いた下期商品説明会で、来年度に出店する新店舗のうち約3割を生鮮品などを取りそろえた「小型スーパー型」にする方針を明らかにした。さらに3割を店内で調理する食品を充実させた「ファストフード(FF)強化型」とする。生鮮品や作りたての総菜メニューなどの品ぞろえを拡充した店舗展開で、シニア層や女性客を取り込む狙い。

同社は今期から小型スーパー型とFF強化型を展開。今期は両方合わせて新規出店と既存店改装で合わせて500店舗以上を展開予定で、このほか駅構内や空港内などの「特殊・ミニタイプ」20店を計画する。2015年2月期にはこうした特殊な店舗を1,000店体制とする考えだ。

また、来月から来年2月末までの新たな商品展開として、9月25日から順次、駄菓子コーナーをリニューアルする。駄菓子販促用の新キャラクターとしてイラスト作家のRico氏がデザインした「パンダのたぷたぷ」を採用。11月には同キャラをモチーフにしたチョコレートや駄菓子のプライベートブランド(自主企画商品=PB)も販売し、子供や主婦層、シニア層の三世代の取り込みを狙う。

さらに、9月13日からは「シェリルドルチェ 和ごころ」と題したPBの和スイーツを展開。十勝産小豆と北海道産生クリームを使用した「天使のクリーム大福」(120円)や、どら焼きとロールケーキを組み合わせた「しっとり和ロール」(150円)を販売する。今年度に11~12種類の商品を拡大し、和菓子の売り上げを前年比2倍に引き上げる。