円高ユーロ安は円高ドル安よりも厄介とのうわさ

日本の輸出企業にとって「円高ユーロ安」は「円高ドル安」よりも大きなダメージとなるという話が出ている。日本の場合は欧州向けは米国向けよりも取引量が少ないので、ドル安ほどの影響はないのではないか、と思っていたのだが、どうやら話が違うようだ。

ソニーの場合、対ユーロで1円の円高になると、営業利益が年間17億円目減りするといわれている。これに対し、対ドルで円高が進んでも、輸出で得たドルを原材料や部品調達時等の支払いに充てることなどで、影響額をほとんど相殺できるという。
しかし、ユーロ圏には、調達先の部品メーカーや生産を委託する組み立てメーカーが少なく、価値の下がったユーロ建での決済をする場面がない。結果として円に替えるしかなく、その際に為替差損が確定してしまう。ソニーは「コスト削減を進めるか、ユーロ建ての調達を極力増やすしかないが、それには限界がある」と頭を抱える。

日本総合研究所の下田裕介研究員が、日銀企業短期経済観測調査(短観)の昨年12月調査をもとに円高の影響を試算したところ、製造業全体の今年度下期の経常利益は、円ユーロ相場が1ユーロ98-97円で推移した場合、短観の予想よりも1150億円も目減りするという。
これに対し、円ドル相場が1ドル75円まで円高が進行した場合、逆に180億円の増益になるとの結果が出た。製造業全体では、輸出に伴う為替差損よりも、輸入に伴う差益の方が大きくなるためだ。
下田研究員は「ユーロ安がこのまま長期化すれば、電機や自動車などの機械産業だけでなく、幅広い製造業が打撃を受ける」と警鐘を鳴らしている。

う~ん、ユーロは日本にとっては使い勝手の悪い通貨なのね。