日本経済の問題はたったひとつだ

日本経済が抱える問題の多くは、たった一つの言葉で解決できる。すなわち、デフレだ。
雇用環境の悪化、特に若者の就職率低下の問題、中小企業の苦境の問題、円高の問題、社会保障の問題、少子化の問題、財政悪化の問題。これらすべてはデフレによって日本経済の成長が抑えつけられていることが主要因である。
ところが、97年の橋本政権以降の日本政府は、デフレ下にも関わらず、インフレ抑制策を継続するという、愚かな政策をとり続けてきた。というよりも、政策的にきわめて愚かなことを続けてきた結果が、有史以降類例を見ないほどに長期化した日本の深刻化といえる。

デフレ脱却には金融面と財政面という両面からの政策的なアプローチが不可欠だ。デフレとは「民間(企業や家計)が負債を増やさず、支出(需要)を増やさない」結果、事態が循環的に悪化していく現象である。すなわち、政府には「民間が負債を増やし、投資や消費を増やす」ように政策を打ち出していくことが求められるのである。
具体的には、日銀がマネタリーベースを拡大し、政府は企業の投資意欲を誘うように、公共事業などの支出を増やしていく必要があるわけだ。
逆に言えば、ただそれだけで、日本は長年のデフレから脱却し、前述の複数の問題を解決に向かわせていくことが可能になる。日本がデフレから脱却し、名目GDPが健全な成長率を取り戻せば、雇用環境は改善する。中小企業も旺盛な内需を中心に、売り上げを伸ばしていくことが可能となる。
さらには、経済規模の拡大により、雇用環境が改善され、社会保障への不安が消えれば、若者が子供を増やしやすい環境が生まれる。インフレ率が健全な比率に高まり、実質金利が下がれば、現在のような極端な円高局面は過去のものとなる。
また、名目GDPの成長は、政府の税収をも意味する。経済規模が堅調に拡大するようになれば、ようやく日本の財政問題も解決に向かうだろう。

しかし、日本政府は現在に至っても、復興を実現し、日本経済を新たな成長のステージに押し上げる各種の政策を拒否し続けている。なぜ復興のための財源をよりによって増税に求めようとすることをやめず、まっとうな公共投資拡大に踏み出さないのだろうか。
現在、日本がすべきことは税率を引き上げることではない。復興需要に向けて、政府が国債を発行し、大規模な財政出動を行い、日銀が市場経済の回復に必要な分だけの日本銀行券を供給するだけでよいのだ。それだけで、復興から成長への道を歩むことができる。復興需要を皮切りに民間の投資が拡大すれば、60年代に比べて超スリム化している日本の民間企業のことた。第二次高度経済成長を迎えることも決して不可能ではないと思っている。