これから儲けるのは非製造業

上場企業の業績が減速している。円高やタイの洪水、欧州危機が輸出産業の利益を圧迫し、12年3月期の連結経常利益は前期比21%減となる見通しだ。ただ、通信や消費関連など内需型企業の業績は底堅く、資源高を追い風に商社は最高益が相次ぐ。日本企業の「稼ぎ手」の姿が変わりつつある。

11年4-12月期決算を発表した企業について、日本経済新聞社が通期業績の見通しを集計した。従来の見通し(経常10%減益)に比べ、減益幅が拡大する。
不振の要因は歴史的な円高、タイ洪水といった外部環境の悪化だ。自動車、電機を中心に、今期は円高による利益の目減り額が上場企業全体で1兆円規模に達する可能性がある。タイ洪水の利益への影響額もホンダ、トヨタ自動車でそれぞれ1000億円を超す。
欧州危機の影響も見逃せない。リコーは「欧州の法人顧客が景気悪化で経費を絞っている」(三浦善司副社長)といい、プリンター事業が低迷。今期の最終損益は初の赤字となる。
テレビ事業の依存度が高いパナソニック、ソニー、シャープは経常損益段階での赤字幅が合計9650億円に膨らむ。

輸出型の製造業が苦戦する半面、内需や資源で稼ぐ非製造業の業績は好調だ。スマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)の普及を受けてKDDIは経常最高益となりそう。資源権益で稼ぐ商社も利益を伸ばし、伊藤忠商事や丸紅が最高益を見込んでいる。
今期は製造業の経常減益率が36%に達する一方、非製造業は2%増と増益を確保する見通しだ。