外為特会は事業仕分けすべし

為替介入の結果は、四半期ごとに「外国為替平衡操作の実施状況」として財務省から公表されている。
直近のものは2月7日、昨年10月~12月期のものが発表された。それによると、10月31日に8兆722億円、11月1日に2826億円、2日に2279億円、3日に2028億円、4日に3062億円と5日連続で合計9兆917億円の為替介入をしていた。
10月31日の介入額は一日としては過去最高だ。これについては介入したことを明らかにしていたが、1-4日は介入したことを政府が明らかにせず、実際の介入でも取引主体を明かさない「覆面介入」だった。

介入直前の円ドル相場は75円台後半であったが、31日の介入直後には79円20銭近辺になった。翌1日は78円台前半、介入が続いた4日は同じような78円台前半の展開だったが、翌週から77円台に戻り、その後はじりじりと円高になって、76円台後半から78円台の狭いレンジでの推移である。
こうみると、もう言い古されていることだが、為替介入の効果は一時的と言わざるを得ない。介入後に円高になったために、31日の介入では2000億円程度、1-4日の介入では100億円程度、それぞれ含み損になっている。
ほんの一時の円高をしのぐために、2000億円以上も損失を出すのはあまり賢い政策とはいえない。政府による介入は、一時的な効果だけで継続的な効果はない。

為替は、国際収支のマネタリー・アプローチや二国間のマネタリーベースの相対比で基本的には決まるので、政府による介入ではマネタリーベースを変化させられないから効果がないのだ。これは前から既にわかっていたことだ。
金融緩和が伴わず意味のない介入によって外為特会には含み損が累増してきており、昨年の介入での含み損も考慮すれば、40兆円程度になっている。
しかも、昨年12月に公表された米国米財務省の為替報告書では、日本が8月と10月に実施した為替介入について「支持しない」と明記されている。
介入しても効果がなく、しかも含み損まで発生させながら、海外からの批判を浴びて、何もいいところがないのが為替介入だ。だから、先進国では、為替介入はまず行わない。
個人的には、この資金をどうせ使うなら、まず国債でも10兆円分をポンと日銀に買い切らせて、金融緩和でもしたほうが、よほどましであると考えている。国債は満期まで持っていれば損にはならないし、そのほうが、結果的にマネタリーベースの増加によって円安にもつながりやすい。海外も為替介入には反対するが、国内資金量の多寡については、内政干渉でもあることだし特に何の批判もしない。

また、日本では、為替介入の結果である外貨準備が大きいほうがいいという風潮が一部にあるが、それは固定相場制の時代の名残を引きずった誤った考え方だ。日本の外貨準備GDP比2割程度にも達しており、1-2%程度が普通である先進国の中で突出している。
外為事業は様々な観点からコストパフォーマンスが悪いので、早く事業仕分けで事業廃止すべきである。