広がる電機各社の配当水準

業績の好不調を背景に、大手電機各社の間で配当水準の差が鮮明になっている。12年3月期に東芝や日立製作所など総合電機が年間配当の増配に踏み切る一方、巨額の赤字に転落するシャープやNECなどは減配や無配とする方針だ。家電・情報通信メーカーは水準の後退を余儀なくされており、個人を中心に株主離れを招く懸念もある。

増配組の東芝と日立は、電力や鉄道などのインフラ事業が伸び、12年3月期に最終黒字を確保する。東芝は年間配当を前期から3円増配の8円とし、日立も創業100周年の記念配当とした前期の2円分を含めて年8円を維持し、実質的に増配する。
年12円に据え置く三菱電機は12年3月期の最終利益は前期比2割減となるが、工場向けの自動化設備が好調なこともあり、高水準の配当を継続する。

一方、薄型テレビの苦戦が響いて巨額の最終赤字に転落する家電メーカーは、軒並み低水準を強いられる。2900億円の最終赤字に転落する見通しとなったシャープは、年10円と前期から7円も減配。7800億円にのぼる赤字を見込むパナソニックは3年連続で年10円に据え置き、リーマン・ショック前の08年3月期に比べ25円減の状況が続く。
携帯電話が伸び悩むNECは2年連続で無配とする方針だ。最終赤字は1000億円となる見通しで、従業員の1万人削減など大規模なリストラを進める中、資金を配当に回す余力はない。
深刻な業績低迷が続く沖電気工業(OKI)は07年3月期から6期連続で無配となり、パイオニアも09年3月期から4期連続で配当を見送る。
中国や韓国勢との競争激化で苦戦が続く家電各社と、好調な総合電機の配当格差はさらに広がる可能性もある。

【主な電機メーカーの年間配当見通し】(カッコ内は11年3月期実績)
日立製作所  8円(8円)
パナソニック 10円(10円)
ソニー    未定(25円)
東芝     8円(5円)
三菱電機   12円(12円)
シャープ   10円(17円)
富士通    10円(10円)
NEC    0円(0円)
パイオニア  0円(0円)
OKI    0円(0円)