メジャー球団の恐るべき資産価値

米大リーグ(MLB)ドジャースが27日、米プロバスケットボールNBAの元スター選手、マジック・ジョンソン氏らのグループに球団を売却することで合意した。20億ドルという売却金額での合意は、どのスポーツチームのオーナーにとっても「ホームラン」となった。その額は04年の買収時の約5倍に膨れ上がり、有名スポーツチームの資産価値の急騰トレンドが改めて示された結果と言える。

投資の側面からとらえると、この上昇ぺースに近いのは金相場くらい。スポーツ中継のテレビ放映による収入増加で、さらに多くのマネーが動いている。ただ、その価格高騰をあおるような投資を求めているのは、超富豪のウルトラリッチと呼ばれる人たちだ。
最近になってオーナーになった人たちは、巨額の資金力を誇る面々が並んでいる。昨年には、米投資会社アポロ・グローバル・マネジメントの共同創設者ジョシュア・ハリス氏が米プロバスケットボール協会(NBA)のセブンティシクサーズを、プラチナム・エクイティのトム・ゴアズ氏がピストンズをそれぞれ買収。先月には、ヘッジファンドマネジャーのスティーブン・コーエン氏が、メッツの球団株式の4%を取得した。
そうした中でも、最高の取引をしたのがドジャースのオーナー、フランク・マッコート氏だ。マッコート氏が8年前に支払った買収額は4億3000万ドルだが、NBAの元スター選手マジック・ジョンソン氏らの投資グループ「グッゲンハイム・ベースボール・マネジメント」とは今回、史上最高額での売却で合意にこぎつけた。同氏は、破産申請をしながらもチームを管理下に置き、結局どの市場よりも大きなリターンを手にしてチームを去ることになる。S&P500種指数に投資していれば、リターンは42%にとどまっていた。高騰している金の場合でさえリターンは300%だ。

今回のドジャース売却を考慮すると、他の有名チームの価値は控えめに見積もられているように映る。コンサルタント会社スポーツインパクツは、実際の価値より25%かそれ以上低い評価になっていると指摘する。現に、米ナショナル・フットボールリーグ(NFL)カウボーイズの価値は1億5000万ドルで、ジェリー・ジョーンズ氏が買収した89年以来、約12倍にも高騰した。
価値が高騰する経済的理由はいくつかあるが、テレビ視聴数増加の影響が大きく、スポーツネットワークが支払う放映権料、特に生中継の試合に支払われる額が値上がりしている。その例として、NFLのオーナーは、13年に現在のCBSとESPN、FOXとの契約が切れれば、次の契約でテレビ収入が6割ほど増えると見込んでいる。
億万長者は世界に1,220人以上いるとされ、価値ある資産を得るための資金力はますます膨らんでいる。しかし、彼らの興味が薄れたり、資金力に陰りが見えたりすれば、スポーツチームの価格はバブルのように見えてくるだろう。