環境投資に個人投資家が負うリスク

環境問題に投資を通じて1票を投じたいと思うならどうすべきか。環境に配慮する良心とポートフォリオ上のリスク拡大の引き換えになるかもしれないが、1つの方法として環境にフォーカスしたETFを購入する方法もある。

「持続的・責任投資フォーラム(SIF)」の報告によると、エネルギー価格と気候変動を懸念する人たちが、これまで計3兆ドルもの資金を環境や社会・企業統治に関するファンドに投資。そうしたファンドの数は250以上に上っている。
環境関連銘柄も他のセクターと同様に株価は乱高下する。ある年にはエタノールメーカーが注目を集めたが、その後に売られ、太陽電池パネルメーカーも急騰した後にその勢いを失った。
環境ファンドは、特定のカテゴリーをオーバーウエートする傾向にあると言える。水インフラに注力するファンドマネージャーもいれば、地熱やバイオマス、太陽光、風力などの株を広く保有するファンドもあるだろう。

アクティブ運用型のファンドは、より高いセクターリスクに遭遇するのが常だ。次のホットな業界は何かというテーマについて、マネージャーが判断を誤る可能性があるからだ。
環境ファンドも、08年に起きた金融危機の影響を免れず、市場全体の動きに伴って売られた。例えば、マーケットベクターズ環境サービスETFのパフォーマンスを見ると、S&P総合500種指数と同様の値動きをしているのが分かる。過去5年のパフォーマンスこそS&P500をやや上回っているものの、08年後半にはS&P500の急落に追随した。
こうしたファンドの運用者らは、資源枯渇やエネルギー消費、汚染や気候変動という地球的問題に対する持続可能性や解決策に取り組む企業を探そうとしているが、もちろん現実の世界では、どんな企業も完全にクリーンでグリーン(環境的)というわけにはいかない。

環境ファンドでは利益を出せないというわけではない。株式相場の上昇に伴い、最近は環境ファンドも花を開きつつある。ウィンスロー・グリーン・グロース・ファンドは3月末までの1年で約13%上昇し、フィデリティ・セレクト・ファンド(環境・代替エネルギー)も約9%上げた。
環境ファンドにとって最大の問題には、歴史が浅いため、そのほとんどが過去の下げ相場を経験した実績を持たないということがある。10年余りの歴史を持つファンドはわずか数本にすぎない。

しかし、結局のところ、可能な限り幅広い環境投資を行いたいなら、より多くの業種をカバーし、環境企業だけに特化しないインデックスファンドが必要だ。
バンガード・トータル・マーケット・インデックスETFは構成銘柄が3,000社以上にわたるため、環境技術における「次のマイクロソフト」を保有する可能性は、環境ポートフォリオを保有するより大きい。大規模ファンドの方がコストも大幅に安く済む。バンガードのファンドの管理手数料の年間経費率は0.07%だが、ウィンスローのファンドは1.45%だ。
現時点では勝者より敗者が多いかもしれないが、環境企業は長期的には有望だろう。エネルギーと資源の問題は、世界人口がさらに増加し、水や電気、肥料、石油、石炭、金属、消費財への需要が高まる以上、ますます大きな課題になる。
正しいことを行う過程で、ポートフォリオのリスクを拡大させる必要はない。地球を救うにはより賢明な多くの方法がある。