日本国債を暴落させる方法とは

今回は、日本国債を暴落させる方法を考えてみよう。何とも物騒な話題ですが、「日本をギリシャにするな」といった見出しを使いたがる雑誌メディアからは、国債の暴落を「想定」して欲しいという取材もあるという。
国債暴落とは、国債の価格が下がって、利回りが急上昇することです。たとえば、ヘッジファンドが現物や先物で日本国債を大量に売ると、一時的に国債価格を下げて長期金利を急騰させることが出来る。

しかし、現在のようなデフレで低成長の環境下では、上昇した金利でお金を借りたいという資金需要はない。インフレ率を引いた実質金利が高いのなら逆に国債を買いたいという需要が、銀行や生保からも、年金基金からも、さらには外国人投資家からも集まるだろう。つまり、国債は買い直されて、売りを仕掛けたファンドは大損することになる。これが金融市場の現状であり、デフレで低成長の状態で、長期金利だけが急騰するという状態は維持されにくいだろう。

以下は、想像の世界の話だが、それでも日本国債を暴落させるには、買い手である日本の金融機関、特に、銀行が国債を持ちにくくするといい。そのためには、格付けと金融規制ルールを両方動かすことができると、日本国債を暴落させることができそうに思える。
現在、海外の大手格付け会社による日本国債の格付けは「AA-」だ。これが「A+」に1段階下がると、「バーゼルII」という国際的な銀行のリスク管理のルールでは、日本国債は「リスク・ゼロ」から「リスクウェイト20%」へと変化する。この段階で、外銀は日本国債を持ちにくくなる。
しかし、現在のルールでは各国当局の裁量で自国の政府債務のリスクウェイトをゼロにしてもいいことになっている。価格が下がり、利回りが有利だと判断すれば、日本の金融機関は国債を大量に買うだろう。

しかし、ヘッジファンドと米政府と格付け会社がグルになるとどうか。
まず、米政府が、国際的な金融規制のルールを変更し、さらに日本政府に圧力をかけて、金融機関が自国の政府債務であっても適格格付け機関の信用格付けを反映したリスクウェイトを採用するように強制する。
次に、日本国債の格付けを下げ、ヘッジファンドが売りを仕掛けて国債相場を暴落させる。今度は支えきれない公算が大きいだろう。財政も金融も大混乱する可能性がある。

以上は、馬鹿げた「陰謀論」なので、基本的には実現しないはずだろう。しかし、現状が何で成り立っているのか、時には頭の体操をしておくことは無駄ではない。