金市場に追い風の雇用統計結果

先週金曜日の米国雇用統計悪化はマーケットにサプライズ要因となったが、当日はイースターで市場は実質休場となった。
そのため、今夜開くニューヨーク市場の動きが注目されている。金市場の時間外電子取引では日本時間早朝7時過ぎに1,643ドルをつけたが、その後、1,630ドル台まで早々と売られた。
雇用統計の事前予測では20万人程度の雇用増が見込まれ、米国経済好転=追加的量的緩和遠のく、との観測から1,680ドルから1,620ドルまで売り込まれた金価格だが、ここでやや息を吹き返したようだ。

QE依存症の金市場にとっては、願ってもない「ステロイド投入」ともいえようか。この様子だと1,600ドル割れは回避されそうに思える。
ただし、買いといっても空売りの買い戻し主体。それが一巡した後に、新規でフォローの買いが中国・インドから入るか否かに注目だ。
相場の下支えとなる新興国の買いは、経済減速で湿りがち。インドでは国際収支悪化を食い止めるため、主要輸入品の金へ課税強化の動きも出ている。加えて、今月から来月にかけては、フランス・ギリシャの総選挙という欧州債務危機関連の波乱材料が待ち受ける。

足元では、バーナンキ講演に注目したいところ。
相場の天井が1,800ドルから1,700ドル、そして1,650ドルと徐々に切り下がってきているので、短期的には「相場の形が悪い」。
米雇用統計ショックで相場が買い戻されたところは、売りのタイミングとみる。
なお、年末までの流れとしては、来月の雇用統計も悪ければQE3への期待が高まり、年後半に向けての新高値挑戦へのきっかけになるとみている。