FOMC声明文から読み解く日本の株式

25日に米連邦準備理事会(FRB)が米連邦公開市場委員会(FOMC)で金融政策の現状維持を決めたが、大方の予想通りだったため反応は限られた。ただ、バーナンキ議長はFOMC後の会見で「必要に応じて、さらなる行動に移る用意が依然ある」などと述べ、追加緩和の可能性を残してはいる。

これを受けて、日本株にはどう影響してくるのか、市場関係者からのコメントを載せる。
―追加緩和含みを残し株式市場にポジティブ―(大和証券チーフテクニカルアナリスト 木野内栄治氏)
FOMC後のバーナンキ議長の会見は、今後の追加緩和に期待を残す内容となった。雇用の最大化、物価安定のためにできる政策は機動的に打ち出すという姿勢も継続しており、株式市場にとってはポジティブだろう。
今回のFOMCを受けて、27日の日銀の金融政策決定会合後の白川方明総裁の会見には一段と注目が集まる。先月のワシントンでの講演では「金融緩和の副作用や限界も意識する必要がある」と指摘し、市場に失望感が広がった。だが、足元では正副総裁が追加緩和に含みを持たせている。従来の「必要な場合には適切な金融政策をとる」といったニュアンス以上のものを市場に示せるかがポイントだ。
現在総額65兆円の資産買い入れ基金を5~10兆円増額するとの見方が市場で広がっている一方で、オペ(公開市場操作)では応札額が予定額に届かない「札割れ」が増えている。マネーの量を増やすことの効果が薄れており、市場にデフレ脱却への期待を醸成するのは難しくなっている。

―想定通りで驚きなくGW後の株安警戒―(カブドットコム証券マーケットアナリスト 山田勉氏)
今回のFOMCは市場の想定通りの結果となり、相場への影響は限定的になりそうだ。米国経済は緩やかながら回復しており、このタイミングであえて追加緩和に踏み切る必要もないだろう。ただ、この先、景気が腰折れするようなことになれば、追加緩和に踏み切るポーズも示しており、市場の安心感につながっている。
ゴールデンウイーク明け、5月7日以降の日経平均株価の下げに警戒している。27日に日銀の金融政策決定会合が控えているが、5~10兆円程度の資産買い入れ基金増額の追加金融緩和はほぼ市場に織り込まれている。ポジティブサプライズを与えることは難しく、反対に材料出尽くしで売られやすくなる可能性がある。5月6日にはフランス大統領選の決選投票、ギリシャの総選挙が控え、結果次第では円高・ユーロ安が進み、株式相場への重荷となる。ここ数年間、5月の円高・株安傾向は鮮明で市場の警戒感も強い。