増資インサイダー証券会社外しの動き

松下忠洋金融相は3日午前の閣議後記者会見で、未公表の増資情報を顧客に伝えていた問題が相次いで発覚したことを受け、証券12社に対して管理体制を点検するよう求める方針を明らかにした。「自主的な取り組みを重視する観点から各社による公表を促す」と述べた。
具体的には、

  1. 社内組織体制
  2. 法人関係情報の管理状況
  3. 課題と取り組み

――の3点で、点検結果の報告期限は8月3日。金融相は「証券会社の管理体制の強化を促すとともに、結果を踏まえ問題を有する証券会社に対しては厳正に適切に対応していく」と述べた。
対象は近年の大型公募増資の主幹事を務めた証券会社で、SMBC日興証券ゴールドマン・サックス証券シティグループ証券JPモルガン証券、大和証券ドイツ証券、野村証券、みずほ証券三菱UFJモルガン・スタンレー証券メリルリンチ日本証券モルガン・スタンレーMUFG証券UBS証券の12社。

また、これに関連して、増資インサイダー問題への関与が明らかになった証券会社を債券発行の主幹事から外す動きが相次いで表面化してきた。
2日には川崎重工が、期間7年と10年で発行を検討している国内普通社債(SB)の主幹事から大和証券を外したことが明らかになっているほか、日本政策投資銀行も3日、7月に発行予定の2本の財投機関債(発行額未定)の主幹事から、野村証券を外した。政投銀は3日、7月に発行予定の期間3年と5年の財投機関債の主幹事を、みずほ証券大和証券三菱UFJモルガン・スタンレー証券に変更した。5月15日に主幹事を決定した際は、野村証券、大和証券みずほ証券としていた。政投銀の財務部は主幹事変更の理由について「起債運営に万全を期す必要があるうえ、投資家の利便性を考えたため」説明した。