欧州は弱気材料ばかり

英イングランド銀行(中央銀行)は現行の政策金利(0.50%)を据え置き、資産買入枠を500億ポンド増額すると発表した。政策金利据え置きは市場予想どおりだった。

ECB(欧州中央銀行)は、政策金利を現行の1.00%から0.25ポイント引き下げて過去最低水準となる0.75%に、中央銀行の預金金利を現行の0.25%から0.25%引き下げて0.00%にすると発表した。またドラギECB総裁は記者会見でユーロ圏経済の先行きに慎重な見通しを示した。中央銀行の預金金利引き下げに意外感はあったが、政策金利引き下げ幅は予想どおりであり、それ以上の政策対応が打ち出されなかったことで、株式市場では材料出尽くし感や失望感が広がった。

 

独5月鉱工業受注指数は111.7となり前月比0.6%上昇した。4月改定値の111.0、前月比1.4%低下(同1.9%低下から上方修正)に比べて改善し市場予想も上回った。市場の反応は限定的だった。

スペイン政府が実施した中長期債入札では需要が堅調で目標上限の合計30億ユーロを調達した。10年債落札利回りは6.430%で前回(6月7日)6.044%から上昇した。このため10年債流通利回りも上昇した。

フランスが実施した長期債入札では、需要が堅調で、落札利回りは前回に比べて10年債がやや上昇したが、7年債と12年債は低下した。

欧州の主要株式市場は概ね下落した。前半は買い優勢の場面もあったが、ECBの利下げを受けて材料出尽くし感や失望感が広がり、下落に転じた。外国為替市場では、ECBの利下げやスペイン10年債利回り上昇などを受けて、ユーロ売りが優勢になった。