投信のリスクをもっとわかりやすく

金融庁は3日、投資信託の運用リスクを個人投資家が理解しやすくするための改革案をまとめた。投信ごとに運用リスクの度合いを示し、毎月、決まった分配金を支払うタイプの投信では元本を含めた実質的な利回りも投資家が把握できるようにする。投信への個人投資家の不安を和らげ、より個人の需要に沿った投信商品の開発・販売につなげる。
3日の金融審議会(首相の諮問機関)で中間報告をまとめた。年内に最終案を固め、13年の通常国会に関連法案を提出する。

現在はデリバティブ(金融派生商品)を組み込み、為替相場などによって運用成績が急変する複雑な投信が増えている。経験の乏しい個人がリスクを十分に理解しないまま買って、後で問題となるケースもあるため、より個人が理解しやすいよう運用リスク度合いを示す仕組みを導入する。欧州には投信の運用リスクを7段階に分け表示する仕組みがあり、こうした事例を参考に検討する。
デリバティブ取引の相手先の破綻などで短期間で損失が大幅に膨らむリスクを持つ投信は数値基準を設けて規制する案も浮上している。金融庁は「特定の商品を排除する狙いはない」(幹部)としており、リスクの計測手法など詳細を詰める。

毎月分配型など投資家が毎月、決まった額を配当として受け取る投信は、分配金が運用収益から払われるのか元本からか見えにくい面がある。投資期間を通算し、実質的な利回りを定期的に通知する制度も議論する。
投資家が払う販売手数料や信託報酬の内訳も示す。国内の投信会社が海外の運用会社に運用を委託して手数料を払えば、そのコストも見えるよう示す。個人投資家のコスト意識を高めて、投信間の競争を促す狙いだ。

また、投信運用会社の合理化も促す。分厚い運用報告書は一部を紙から電子版に移す。小規模で運用効率が下がった投信は簡単に合併できるよう手続きを改める。個人投資家の費用負担を減らし、最終的な利回り改善につなげる。
上場不動産投資信託(REIT)は資金調達の手段を多様化する。ライツ・イシューと呼ばれる株主割当増資や新株予約権付社債(転換社債=CB)を解禁し、不動産物件の取得を円滑にできるようにする。