来週の金融政策決定会合は現状維持の見通し

日銀は8、9日に開く金融政策決定会合で政策を現状維持とする公算が大きい。外需は想定より弱含んでいるものの個人消費など内需が底堅く、日本経済が緩やかに回復していくとのシナリオを維持する見通し。資金供給オペの入札に十分な応札が集まらない「札割れ」対策として市場で思惑が浮上している資産買入基金による長期国債買入オペ(公開市場操作)の下限金利撤廃も見送られる公算が大きい。

欧州経済の低迷や中国経済の減速長期化で4-6月の鉱工業生産指数が4四半期ぶりに前期比で低下するなど、生産・輸出は弱含んでいるが、関係者によると、日銀では震災からの復興需要やエコカー補助金効果、企業の設備投資など底堅い内需が、外需の弱さをある程度補っていくとみているもよう。外需が想定より弱いため景気の回復時期が従来の12年度前半から後ずれするリスクがあるが、シナリオは大きく変わらないと判断している。
米連邦準備理事会(FRB)が1日までの米連邦公開市場委員会(FOMC)で追加緩和策を見送り、さらなる円高が企業マインドを通じて日本経済を下押しするリスクが後退したことも当面の国内景気に好材料とみている。

前回7月の決定会合では、札割れに対処するため、基金による短期国債の国債買い入れオペに設けていた年0.1%の下限金利を撤廃。直後には基金と別枠の長期国債買い入れオペでも、残存期間1年以下で年0.1%の下限金利を撤廃した。
これを受けて市場では、日銀が基金による長期国債買い入れオペでも年0.1%の下限金利を撤廃するとの思惑が広がり、8月1日の同オペで札割れが発生した。しかし、2年債利回りの0.1%割れなどオペへの応札見送りの背景となっている市場金利の低下は、足元で強まっている欧州情勢をめぐるリスクオフの動きなどが影響している可能性がある。このため、日銀では「札割れがこれからも続くのか、状況を見極めたい」(森本宜久審議委員)としており、次回会合での下限金利撤廃は見送られる見通しだ。今後の同オペへの応札状況や市場金利の動向、基金積み上げの進ちょくなどをにらみながら対応を検討していくとみられる。

なお、次回会合から7月24日に就任した佐藤健裕、木内登英の両審議委員が加わる。正副総裁と審議委員を合わせ、9人の定員で議論が行われるのは今年3月会合以来となる。