農業食料関連ファンドを見直す
国際商品市況の動向において、穀物価格の騰勢が顕著となっている。大規模な穀物生産地帯である北米中西部が記録的な高温乾燥気候に見舞われたことで、トウモロコシをはじめ大豆などの作柄悪化に対する警戒感が強まった。米国以外でもロシア、ウクライナの穀倉地帯での天候要因などから、小麦の生産量への懸念が持ち上がり、穀物価格を押し上げる一因となっている。
世界のコモディティ市況の動きを捉える有力なインデックスのひとつ、ダウ・ジョーンズUBSコモディティ・インデックス(ドル建て、トータルリターン)のサブ・インデックスごとの推移で確認すると、ここ数カ月間では穀物が独歩高の状態にあることが鮮明だ。
参考までに、12年6月末から7月第4週末(27日)までの期間で全品目の騰落をみると、トウモロコシ(同インデックスの基準で27.06%上昇)、小麦(同18.60%上昇)、大豆(同12.20%)が上昇率上位を占める。同期間中、米農務省がトウモロコシや大豆について米国での生産量予測を引き下げたことも、騰勢に拍車を掛けたものとみられる。
穀物を含む農作物の価格推移を中長期の視点で見ると、直近の水準は食糧価格高騰が騒がれた08年のリーマン・ショック前の水準まで近付いていたことが分かる。新興国の経済的な台頭による食糧需要の増大のほか、食肉文化の普及による畜産向け飼料としての需要増、バイオエタノールなど代替燃料向け用途の広がりなど、実需の面からも穀物の重要性は増し続けている。また、世界人口が既に70億人を突破した現在、食糧供給問題は我々が積極的に取り組むべき課題であるとともに、穀物を含む食糧価格の下支え要因として意識されるだろう。
以上のことを踏まえ、穀物や、穀物を含む食糧、農業関連の分野に投資するファンドについて探ってみた。該当するファンドは予想より少なく、今後の拡充が待たれる。また、設定時期も食糧価格が上昇した07年から08年以降に集中するなど、比較的新しいものが多い。
ファンドの新規設定もあり2011年中盤ごろまでは盛り上がりの兆しもみられたものの、欧州債務問題が一段と深刻さを増した後は再び伸び悩んでいる。足元の穀物価格の上昇が、今後の関連ファンドの動向に与える影響を注視したい。
ファンド名 会社名 トータルリターン6カ月間(%)
DWS・グローバル・アグリビジネス株式F ドイチェ・アセット 9.63
三菱UFJ グローバル農業関連株式ファンド 三菱UFJ投信 7.92
DWSワールド・アグリビジネス・ファンド ドイチェ・アセット 7.55
コモディティ・セレクション(食糧) 岡三アセット 6.36
みずほ・BRグローバル農業関連株ファンド 新光投信 5.74
グローバル・アンブレラUBS フード(豪ドル) UBSグローバル・アセット 4.97
ダイワ/アムンディ食糧増産関連ファンド 大和投信 2.50
エネルギー・食糧関連ファンド 東京海上アセット -0.58
ロジャーズ・チャイナ-食品・飲料株オープン 岡三アセット -2.8