証券大手の本格回復は程遠く

証券大手5社の12年4-6月期連結決算が3日、出そろった。1月末以降に上昇していた株価が欧州経済の混乱で再び低迷し、売買手数料などが減少。最終利益は、最大手の野村ホールディングスなど3社が減益となった。残る2社も黒字に転換したとはいえ、コスト削減の寄与が大きく、業績の本格回復には遠い。

 

3日に決算を発表した大和証券グループ本社は前年同期に94億円の赤字だった最終損益が26億円の黒字に転換した。ただ、リテール(個人向け業務)部門は黒字だったが、ホールセール(法人向け業務)は引き続き赤字となり、地域別では収益強化が課題となっている海外事業も黒字浮上を果たせなかった。

 

野村の最終利益は、前年同期比の減少率が89.4%減と5社で最も大きかった。同社もホールセールや海外の赤字が重荷となり、経費削減の効果が打ち消された格好だ。

 

インサイダー問題をめぐっては、情報を漏洩した証券会社を社債発行などの主幹事から外す動きが拡大。情報漏れが発覚した野村と大和、SMBC日興証券は、業績へのマイナス影響が見込まれる。4月末に業務改善命令を受けたSMBC日興の田本真也執行役員は、4-6月期業績への影響について「数値化はしづらいが、ないわけがない」と説明。今後についても、3日に改善命令を受けた野村HDの中川順子執行役最高財務責任者は「(マイナスの影響は)ないとはいえない」と話し、業績下振れの懸念がくすぶる。

 

一方、欧州危機が「2-3年ではとても収束しない」(大和の岩本信之副社長)とみられる中で株価の急回復は望みづらい。当面はコスト削減効果に支えられる局面が続きそうだ。