今週の東京市場は出来高に注目

今週の東京株式市場は現物株の商いが増加するかが焦点だ。堅調な地合いが続くと期待されているものの、先物主導での急ピッチな上昇となっていることから、夏季休暇明けとなる内外投資家からの戻り売りなどをこなすボリュームが必要になる。銀行株の低迷も強気になりづらい要因と指摘され、リスクオンに傾くことをためらう声も聞かれる。

 

日経平均が7月4日高値9,136円02銭を上抜いたことで、次の上値めどは今年4月にもみ合った9,400-9,600円の価格帯まで引き上がった。メルケル独首相がドラギ欧州中央銀行(ECB)総裁のユーロ救済発言を支持したほか、一部の米経済指標の改善に伴って米景気に対する悲観論が後退していることを受け、「外為市場で進む円安を追いかける格好で日本株も上昇している。9,500円程度まで価格帯別出来高の少ない『真空地帯』に入るため上値は軽い」(マネックス証券チーフ・ストラテジストの広木隆氏)と強気な見方が聞かれる。

ただネックは現物市場の商いの薄さだ。東証1部の売買代金は15-17日の3営業日連続で1兆円を割り込むなど低迷。一方、先物市場では連日5万枚以上と活況で直近の株価上昇は先物買いに引っ張られる格好となっている。週明けには夏季休暇を終えた国内機関投資家や、ラマダン明けでオイルマネーが動き出すとの思惑が働きやすいとみられているが、「急ピッチの上昇を受けて、国内勢が利益確定売りを出してくる可能性がある」(松井証券シニアマーケットアナリストの窪田朋一郎氏)との声も出ている。

 

またメガバンク株の低迷が気がかりという。時価総額が大きいメガバンク株の低迷はTOPIXの相対的な弱さにつながる。三菱UFJモルガン・スタンレー証券・シニア投資ストラテジストの吉越昭二氏によれば、NT倍率が12倍となっており、00年4月の12.36倍に次ぐ水準まで上昇。「日経平均TOPIXに対して上昇し過ぎており、どこかで修正がおきてもおかしくない」という。また吉越氏は「週初こそ投信の大型設定もあり、強気相場の余波が残るかもしれないが、この水準で買いに入る投資家は、日経平均株価で1万円水準を見ていると想定され、そのような投資家が多くいるとは思えない」と慎重だ。

20日には野村アセットマネジメントが「野村日本株投信(豪ドル投資型)1208」を設定する。設定上限額2000億円に対し1200億円程度集まったと観測され、「応募額からみて日経先物で1万枚以上の買い注文になる可能性がある」(外資系証券)との声が出ている一方、「すでに先回り買いで市場には織り込み済みであり、設定後のマーケットインパクトは限定されるのでは」(準大手証券)との見方も聞かれる。

 

注目される主な予定では、国内で7月貿易収支(22日)など。海外では、米景気動向を占ううえで7月米中古住宅販売(22日)、8月米製造業PMI(23日)、7月米耐久財受注(24日)などが焦点という。また24日には独ギリシャ首脳会談が予定されている。