日経平均と日経先物の関係

日経平均の配当落ちに関してよく受ける質問がある。それは「日経平均株価日経平均先物の関係」だ。期末配当権利の3月をまたぐ6月限、中間配当権利の9月をまたぐ12月限について、日経先物が日経平均に比べて、一昨日までは配当分だけ安くなっているで、疑問を感じる方が多いようだ。

日経平均と日経先物の関係を知るために、主に裁定取引に使う日経先物の理論価格の計算を知っておくとよいだろう。計算式は以下のようなものだ。

先物理論価格=日経平均株価×{1+(短期金利-配当利回り)×SQまでの日数÷365}

難しい計算式を理解したり、実際に計算して投資する必要はないと思うが、簡単にいえば、お金を借りて現物株(日経平均)を買ったとして、配当をもらわない条件で満期(SQ)まで持つ権利はいくらかと考えて、先物の価格を計算している。この理論価格をもとに日経平均と日経先物の裁定取引が行われており、予想配当価格差以上に開けば、現物が高く先物が安いと判断され、その反対に予想配当価格差以内なら、現物が安く先物が高いと判断されるのだ。
逆に言えば、この仕組みがわかると、日経平均の配当落ち分がいくらかを調べないでも、単純に日経平均と日経先物の価格を引けば、だいたい日経平均の配当権利落ち分がわかることになる。

ただし、配当の関係を知らないと、3月のSQが終わり、6月限月になってから配当権利落ち日まで、日経先物が割安と勘違いして買ってしまう人もいるかも知れないが、この仕組みが分かっていれば、すでに配当落ちした現在では、日経平均と日経先物がほぼ同じ価格になっていることも容易に理解できよう。
ちなみに、日経平均先物の「期近」(最も決済日が直近のもの)と現物の日経平均株価の価格差が逆転するのは、通常、3月のSQ日から3月の配当権利付最終売買日までの間と、9月のSQ日から9月の配当権利付最終売買日まだけである。それ以外の月の場合にも、当然こうした価格差は理論的に存在するのだが、日経平均株価という指数ベースで計算すると、配当権利分を差し引いて逆転するほどの価格差にはならないためである。